開発者が語るThinkPad Tablet 2 - プロジェクト

ThinkPad Tablet 2

ThinkPad Tablet 2を発表後、大きな反響がありました。Tablet 2はThinkPad初のWindows 8タブレット機です。開発者たちの生の声を、何回かに分けてお届けします。 初回は、プロジェクトについて、大和開発チームの指令塔の製品開発統括担当とテクニカル・プロジェクトマネージャーが語ります。


- ThinkPad Tabletのインタビューの時に、「Windows版・薄型化・軽量化」が必要と話していました。

木下: 有言実行できてホッとしています。Tablet 2は初代Tabletから進化し、とても小さく薄く軽く、ユーザーエクスペリエンスも向上したものに仕上がった自信はあります。

初代TabletはAndroidプラットフォームで、ノートPCのユーザーエクスペリエンスとも違い、私自身も知らない世界でした。それでも、「ThinkPadのTabletとはこういうものだ」というメッセージをできたとは思います。

しかし、初代の開発当時から改善できる点が多々あるのがわかっていて、次はもっと自分たちが満足できるレベルにしようという大和共通の想いがありました。

やはり初代の経験も含め、色んな経験をしたからこそ実現できた製品だと思います。


- いろんな経験といえば・・・Windows版に先行して、Android版のTablet 2が存在していましたね。

木下:  はい。初代TabletもTablet 2を市場に投入できたのは、製品化されなかったプロジェクトが影にあったからこそです。初代ではSkyLightというノートPC製品、Tablet 2では3-4ヶ月先行していたAndroid版のタブレットでした。

ThinkPad Tablet 2とAndroid版タブレット

 

- Android版タブレットの経験は、具体的にはどこに活かされていますか?

木下: パッケージングです。特にこだわった薄型化・軽量化に活かされています。つまり、Tablet 2を小さく薄く軽くできたのは、先行したプロジェクトで検証した事が、フィードバックできたからです。構造自体は先行したTablet機の構造とは少し違いますが、マグネシウムの内部フレームで薄型化・軽量化・堅牢性を達成しています。パッケージング自体は初代Tabletに比べ、かなり高度化できていると思います。


- では、他社のタブレット機と比べた場合のパッケージングの優位性は何ですか?

木下: 薄さ約9.8mm・重さ約570g(デジタイザーペン搭載時、約590g)なので、圧倒的な優位性はないかもしれません。しかし、10.1インチのAtom搭載Windows 8タブレットとしては、現時点では世界最軽量です。それに、OSとの親和性やデジタイザーペンなど総合的なユーザーエクスペリエンス、何よりもThinkPadならではの良さを感じられるという点では、かなり満足できるレベルになったと思います。

もうひとつ大きな事がありました。それは、MicrosoftのIntegrated Development Program (IDP)というパートーナーシップ・プログラムによって受けた恩恵です。

Tablet 2はMicrosoft・Intel・Lenovoの共同開発とも言えます。他社よりも手厚いサポートを受けています。正直、IDP自体は交渉事も多く、プロジェクトとしてはプレッシャーでもありましたが、色々学べました。

残念ながら、他社に先駆けてWindows 8タブレット機発表することはできませんでした・・・。最先端技術ゆえの苦労がありましたが、より高いレベルのThinkPadクオリティーを実現できていると思います。


- 常に進化することはThinkPadのミッションなんですね。ところで、オプションも初代Tablet同様、充実していますね。

宮村: はい。初代Tabletでも専用オプションは評判が良かったので、最初から色んなオプションを計画していました。特にキーボードフォリオは初代Tabletよりも、随分使い勝手の良いものになりました。

まず、初代では有線だったのですが、Bluetoothの無線接続になったので、使い方の幅が拡がったと思います。そして、初代Tabletが左右2つのTrackPointボタンだったのに対し、Tablet 2はノートPCのThinkPadと同様に左右と真ん中の3つボタンで、スクロールなどの拡張機能が使えます。

また、Tablet 2はタブレット本体をキーボードフォリオの奥側にセットできるようになっています。初代Tabletはソフトケースがないと、タブレットとキーボードを使う事ができませんでした。Tablet 2はキーボードフォリオさえあればノートPCのように使えるので、より便利になったと思います。


- 他にもこだわりがあったと聞きました。キーボードフォリオのサイズなど。

宮村: はい。タブレットと同じ縦横サイズにする事にこだわりました。ソフトケースに入れてもぴったり揃ってコンパクトです。これはキーボードフォリオも大和独自で開発する事になった、大きな理由のひとつです。

ソフトケースに入ったTablet 2とキーボードフォリオ

本当はデザイン/ユーザーエクスペリエンス部門の提案で、キーボードフォリオにもっとリッチで美しい機能を計画していたのですが、コストや品質との折り合いがつかず諦めたんです。


- そのモックアップ見ました。すごかったですね。

宮村: プロトタイプまで開発は進んだんですが・・・魅力的な機能なので、いつか実現できればと思います。特許は申請中です。


- ところで、タブレットに使えるキーボードはサードパーティーでたくさん出ているのに、なぜ専用キーボードが必要なんですか?

宮村: 「打ち心地」と「TrackPoint」、つまりThinkPadクオリティーを維持するためです。

他社はキーボード屋さんのをベースにしてほぼそのまま製品化していますが、ThinkPadのキーボードはいつも新規開発です。「TrackPoint」がユニークな機能なので、もちろん新規開発する必要があるのですが、「打ち心地」もチューニングされています。今のところTablet 2のキーボードフォリオも評判が良く、約3分の1のお客様が購入されています。

しかし、「TrackPoint」は初代と同様、薄型化が可能な光学式になりました。いつもノートPCでTrackPointを使っている方には、やや違和感が残ると思います。次世代ではスタンダードのTrackPointの搭載を再検討したいです。


- 期待しています。ところで、既にTablet 2をガンガン使っているようですが、どうですか?

木下: ミーティングは、全部これ一枚で済ましています。相変わらずミーティングに時間を取られることが多いのですが、バッテリーの持ちがとても良いので助かっていますね。

デスクに戻るとドックにドッキングして、HDMIで外付けモニターの大画面と接続しているので、ノートPCを一日使わずに仕事が済んでしまうこともあります。


- それでは売れなくなりませんか、ノートPCが?

木下: それはないと思います。レノボは今「PC+」という考え方を進めていますが、これはPCを中心にタブレットやスマートフォンなどが共存する世界観です。

"Contents Creation"はPCが得意、"Contents Consume"はタブレットやスマートフォンが得意、それぞれの特徴を活かすのです。Tablet 2はオプション製品が充実してい#12356;るので、私の使い方のように、両方を行き来できるのが特徴のひとつと言えます。純粋なノートPCと純粋なタブレットの間を埋める製品群も、今は必要だと思います。


- では最後に、今後のTablet製品で実現したい事があれば教えてください。

木下: 次は拡張性が重要だと考えています。オプションを充実して、もっと自由な使い方を提案したいと思います。

Windows Blueで更にユーザーエクスペリエンスが向上することもできるでしょう。一方、パッケージングはかなり高度化していて、今後の劇的な進化は難しいかもしれません。しかし、次世代のBest of Bleed(最高品質)を維持する自信はあります。

あと大きなアイデアがひとつあるんですが、それは内緒です(笑)。

ThinkPad Tablet 2を持った、木下秀徳

 

宮村: 個人的には7インチ版が欲しいです。片手で持てる小ささ・軽さって良いですよね。女子は持ち物が多いので(笑)。

Tablet 2はビジネス向けに特化していますが、良い製品なのでコンシューマー向けでも売れると思うんです。いつか是非、女性も好むような可愛い色使いのものを用意したいと思います。例えば、カラフルなスマートカバーなどです。あ・・・黒も素敵な色だと思うんですけどね(笑)。

ThinkPad Tablet 2 キーボードフォリオを持った、宮村薫